TIME
Concept
大通りからは30mほど登った南東傾斜に建つ築45年の木造軸組み工法の平屋住宅のリノベーション。南東隣地との高低差約8mで視線を遮るものがなく逗子市街地から桜山・葉山長柄方面を望む絶景に魅了される。北西側接道は更に登っているため傾斜の中に寄棟瓦葺き屋根が埋まって佇む様子は大谷石積塀と相まって街並みに落ち着きを与えている。
外壁は極力壊さず内側から構造補強と断熱補強を行うこととし、内部壁・床・天井は一部を残し解体撤去、小屋組みを現し垂木と野地板間にフェノールフォーム断熱による断熱補強、布基礎に亀裂などないことを確認後大引き間にスタイロフォームによる断熱補強を施工し基本性能を確保した。
玄関、ホール、廊下と続く目透かし天井を残す形でプランを再構成することとし、リビングダイニングキッチンを可能な限り広く確保しつつ効率的な家事動線となるように主寝室・寝室・洗面・トイレ・脱衣洗濯室・浴室を外壁廻りに、ウォークインクローゼットを中心に配する間取りとした。
床仕上げは時を共に刻むに相応しいよう節有無垢のオーク、荒々しい皮付き丸太に負けない個性を求めエタノール暖炉廻りにネロマルキーナ、インゴ・マウラー・ツェッツル、セルジュ・ムーユのブラケット照明がアンサンブルを演じる。この建物が積み重ねてきた時間を表現しながら、この土地の個性である内と外のつながりを強化しこれからの住まい方に寄り添う家を目指した。