Geometry

Concept
本計画は、逗子市の敷地面積300坪のゆとりある分譲地に位置しています。西側の前面道路から約2~5メートル上がった地盤面に建物を構え、敷地南側には芝生の庭と高さ10メートルを超えるヤシの木が立ち並び、別荘地ならではの開放的で非日常的な景観を形成しています。
建物は既存建物のスケールを踏襲しつつ、最大3世帯が快適に暮らせるよう設計。高さ制限を最大限に活かし、スキップフロアを取り入れた2階建て構成としました。これにより、空間の奥行きと多様性を生み出し、各世帯が独立性を保ちながらも、ゆるやかにつながる居住環境を実現しています。
1階リビングの南面は大開口とし、屋外の芝庭と一体化するよう設計。リビングからそのまま外部へと視線が抜け、自然との連続感を感じられる空間です。西側の書斎にはインゴ・マウラーの照明《Tubular Balance RED》と、モンドリアンの構成画を想起させるオリジナルの造作手すりを設置。東側壁面には大型のアートを配置し、点在するアートとデザインされた外部空間がリゾートのような非日常性を演出しています。
外観デザインにおいては、西側および南側に対して白い外壁を基調とし、陰影を強調するフレーミングによって印象的な立面を形成。西側外壁の一部を切り抜いた2階バルコニーからは、江の島や富士山を望むことができ、日常の中に特別な眺望を取り込む設えとしています。
ランドスケープデザインでは、プール工事に伴う残土を利用して敷地内に起伏を設け、自然の地形を活かした芝庭を造成。プールとつながるように配置されたファイヤーピットウッドデッキにより、幾何学的な建築との対比の中に、自然との親密な距離感を意図しました。静けさの中に、豊かな時間が流れる——そんな場所を目指しています。