TUNNEL HOUSE

Concept
建設地は鎌倉旧市街の東端、浄妙寺近くにあり。周囲は鎌倉らしい緑に囲まれ、静かで落ち着いた景観が広がる谷戸の集落。南側は緑生い茂る山林、北側は擁壁施工された山林に挟まれた約90坪の南北に長い敷地。この特性を最大限に活かし、自然と調和した開放感と機能性を兼ね備えた住まいを提案しました。
南北両面に大きな開口部を設けたトンネル状の建物形状を採用し、天井高さ3.5メートルのリビング・ダイニング・キッチンを中心に設計。この空間は大きな開口部を通じて外部と内部が視覚的につながり、谷戸の静けさを感じながら光と風が心地よく通り抜ける住空間を実現。家族が自然と集まり、時間を共有できる場となるよう意図されています。
南側の山林からの陽光や北側擁壁に反射する光を最大限に取り込む工夫もポイントです。天井高を活かした窓配置により、室内はいつでも明るく開放的。また、ペレットストーブの熱をダクトで2階寝室まで届ける仕組みを取り入れることで、オープンな間取りながら家全体を快適な温度に保ちます。
内部にはしっくい塗装とオークの無垢フローリングを採用し、自然素材の温もりが感じられる空間に仕上げています。外壁はモルタルの吹付け塗装にダークグレーの色調を採用し、周囲の緑と調和させています。軒天井にはチーク材を使用し、細部にも自然素材の質感を活かしました。
この住宅は、四季の移ろいを感じながら、家族が心豊かに暮らすための「器」です。谷戸の環境と調和し、自然と一体化する設計が、家族の日常に温もりと心地よさをもたらします。