透景の家

Concept
この住宅は、調布市深大寺エリアの静かな住宅街に計画された、都市と自然が美しく交わる住まいです。神代植物公園や深大寺に近接し、今もなお武蔵野の自然が色濃く残るこの地に、家族が心穏やかに過ごせる空間を目指しました。
建物は敷地形状に呼応するように、6寸勾配の切妻屋根を持つシンプルな構成とし、南側に浮かぶように突き出したボリュームが、外観にリズムと奥行きを与えています。外壁と屋根には深みのあるダークグレー、軒裏や室内には温かみのあるチーク材を用い、静謐さと素材の豊かさが共存する佇まいをつくりました。
2階はこの住まいの中心となるリビング空間。東西に大きく開けた開口部からは、遠く武蔵野丘陵の風景や周囲の緑が目に入り、室内にいながら自然とのつながりを感じられる構成としています。天井から壁面へと連続するチークパネリングが、空間全体に温もりと統一感をもたらし、暮らしの中にアートを感じさせる上質な空間を実現しています。
1階には、収納付きベッドを備えた3室の子ども部屋と、落ち着きのある主寝室を配置。主寝室ではチーク材の天井とコーブ照明がやわらかく包み込み、静かで安心感のある場所を演出しています。
限られた敷地の中で、光・風・風景を余すところなく取り込み、自然との親密な関係を築く。そんな住まいの在り方を、素材と構成の力で丁寧にかたちにした住宅です。