RIDGE

Concept
湘南国際村の稜線に寄り添うように計画された本建築は、自然の傾斜と光を享受するギャラリー兼スタジオである。北西から南東へと緩やかに傾斜する敷地形状をそのまま受け入れ、建物はRC造の地階と、木造SE構法による1・2階を積層させることで、地形に対する柔らかな応答を試みた。
道路に面した1階には、車と酒、そして人が出会うバー併設のギャラリーを配置。2層吹き抜けのダイナミックな空間構成は、まるでショーケースのように、愛車と空間そのものを引き立てる。その奥には、静かに水盤へと開けるダイニングとリビングを設け、石と木の重なりが、穏やかな時間の流れを刻む。
2階には、吹き抜けに面したワークスペースと、勾配天井が伸びやかさを演出する主寝室。その先には、洗面・サウナ・浴室・WICへと回遊するプライベートスイートを備え、バルコニー越しには大楠山の深い緑が広がる。仕上げには、インドネシア産の割肌溶岩石とチーク材の天井パネリングを多用し、空間全体にリゾートの静謐と贅沢さを纏わせている。
湘南国際村の建築規定に準じた緩勾配の切妻屋根が、全体のシルエットに抑制と調和を与え、周囲の自然と建築とが静かに結び合う。
ここは、都市でも別荘でもない、“趣味と静寂”を内包したもうひとつの居場所である。