Roofscape

Concept
茅ヶ崎・中海岸。やわらかな風とひかりが流れる街の一角に、夫婦ふたりのための住まいを描いた。
細長い敷地にそっと置かれたこの家は、東から西へと登っていく片流れ屋根の下、スキップフロアのリズムで暮らしの景色をつくり出している。
ビルトインのガレージを起点に、靴を脱ぎ、階を半分ずつ登るごとに、洗面、浴室、サウナ、そして光に満ちたLDKとテラスへ。
緩やかに折れながらつながる動線は、ひとつながりの屋根に包まれ、時間のうつろいとともに光の表情を変えてゆく。
南へと開いたテラスからは、夏の夜に茅ヶ崎の花火が浮かびあがり、暮らしの風景にささやかな祝祭を添える。
外壁には焼杉を纏い、炭化した木肌が静かに光を吸い込む。その奥にある内部空間では、東の壁に粗く割ったトルコトラバーチン、西の壁に荒々しい粘板岩、そして天井には艶をたたえたチークの木肌が重なり、空間に陰影と奥行きをもたらす。
Ingo Maurerの金箔の灯りや、BOCCI、Moooiの光が、夜を柔らかく照らし、日常の中に詩的な瞬間を編み込んでいく。
ひかりと素材、そのあわいに生まれる余白に、静かな贅沢が息づく。
この家は、時間とともに育つ「内なる風景」のための舞台である。